10月1日にKADOKAWAより「材料5つでお店みたいなお菓子」が発売になりました。
撮影 衛藤キヨコさん
デザイン 野本奈保子さん(ノモグラム)
スタイリング 駒井京子さん
ライティング 守屋かおるさん
編集 中野さなえさん(KADOKAWA)
出来上がった本を見ると、材料欄がとてもシンプル!作ってみよう!いう気にさせられます。「材料5つ」の効果は絶大だな、と思いました。
企画誕生
この本の企画をいただいたのは、春。
在宅勤務されるようになった編集さんもお仕事の合間にお茶をのむとき、普段はそれほど口にしない甘いものがほしくなった、とのことでした。
そこで家で気軽に作れるお菓子、それもできれば人にも配ってあげられるようなお菓子のレシピ本はできないだろうか、と考えられたそうです。
お菓子のレシピと言えば、まず、材料欄にずらりと並んだ食材の数に思わず引いてしまうこともあるのではないでしょうか。
そこで今回は使っていい材料を各レシピ5つだけに絞ることに。
材料5つのメリット
実際に材料を5つに絞るとどんなメリットがあるのか?
材料をそろえるのが楽
材料5つとなると、例えばお菓子の基本材料である卵、砂糖、粉、バターorオイルなどにあと1つです。つまり、家にある材料にちょっとプラスする程度で作れるレシピと言うことですので、中途半端に残ってしまいそうなものをあれもこれも、と買ってくる必要がないのです。
買物が楽
特別な材料が必要ありませんので、基本的にスーパーでOK。買い物メモを片手にいろいろ揃えなくても大丈夫です。
計量が楽
これは最大のメリットじゃないかな、と思いました。試作の時にも言えたことですが、暗記できる数なので、一度作り方を覚えれば計量がとても楽です。
材料にこだわることも
さらに、時には材料にこだわって作ってみるのもおすすめです。例えばチョコレート。板チョコでもOKですが、製菓用のクーベルチュールを使うなど、いつもよりいい材料を使うことで、少ない材料でも特別感のあるお菓子が出来上がります。
試作で気づいたこと
何でもつくれます!
試作全体を通して感じたのは、私たちが身近に感じられるお菓子のほとんどは5つの材料で作れるんだな、ということでした。皆さんよくご存知のお菓子がほとんど入っています。
削る勇気
材料を5つに絞るため、これまで入れるのが当たり前と思っていたものを削る勇気も必要でした。例えばベーキングパウダー。ふくらませるために使う以外に、クッキーをさっくりさせたり、食感を軽く仕上げるためにほんの少し加えることが多いのですが、今回は最低限必要なレシピ以外は思い切って省きました。
その分、砂糖を2種類使って食感に奥行きを出したり、具材を加えることができますし、できれば入れたくないベーキングパウダーを使わずに作るお菓子のテクニックを考えるきっかけにもなりました。
44品のレシピでベーキングパウダーが必要なのは、5品だけです。
オイルもバターも
これまで出させていただいた本の多くがバターを使わない、オイルで作れるお菓子のレシピでした。
今回はオイルのお菓子だけでなく、バターを使ったお菓子もたくさんご紹介させていただきました。
バターについて
バターには有塩と無塩があり、お菓子には無塩を使うことが多いのですが、あえて有塩を使ったものもあります。
塩を加えなくていい分材料数が抑えられる、というメリットだけでなく、有塩バターは思っている以上に塩気を感じるもので無塩バター+塩ひとつまみで感じられる塩味とはかなり違います。
ガレット・ブルトンヌやショートブレッドにはその塩加減が絶妙に合いました。
材料と向き合う時間
セオリーに従ってなぜか加えていた材料、プラスすることでおいしくなるのでは?と思い込んでいた材料、これらは材料5つで作るレシピでは、その使う意味を改めて考え直さなければいけませんでした。
ベーキングパウダーやバターでお話したとおり、この本を作ってみて、普段何気なく使っていたお菓子の材料としっかり向き合う時間もいただけたな、と思います。
写真
カメラマンさんの力は本当に素晴らしく、まるでお菓子に命を吹き込んでくれるかのようです。
衛藤キヨコさんの力強い写真で、ふんわりとした家庭のお菓子がキリっとかっこよくしまって見えます。
写真を撮ってくださった衛藤さん。お話しもとっても楽しくて、撮影現場は終始和やかで笑いが絶えませんでした。
私が特に好きな写真はマフィンとピーチパイとカスタードプリン、そしてチョコレートムースです。
スタイリング
スタイリングは駒井京子さんが担当してくださいました。
駒井さんとはこれまで雑誌と共著の本(糖質オフのお菓子)でご一緒させていただきましたが、1冊の本は初めてでした。
シンプルでありながら風情の感じられる素敵なスタイリングに毎回心惹かれます。
今回も想像を超えたところに駒井さんのスタイリングはありました。
お店屋さんのイメージで、ということで考えてくださったのはアメリカのベーカリー。
天板や壁といった大きなものから伝票など普通は気づかないようなものまで、その細やかな演出には驚かされました。
特にお持ちくださった天板とタイルの壁は、この本の雰囲気作りに大きく影響を与えてくださいました。
お店みたいに見せるには?
タイトルの通り、手作りのお菓子をお店みたいに見せるためのコツがこの本には散りばめられています。
それはお菓子の作り方のコツであったり、ラッピングのコツであったり、見せ方のコツであったり。
本全体からお店の雰囲気を感じられる仕上がりになりましたので、お手に取ってご覧いただけたら嬉しいです。