WORKS

【ブックレビュー】自家製ミックス粉でかんたんおやつ

「自家製ミックス粉でかんたんおやつ」(ナツメ社)は、ちょうど今から4年前になる2020年3月に出版された本です。

ミックス粉を作って、さまざまなお菓子に使っていこう、という企画でした。

なぜミックス粉?

大抵の焼き菓子には、小麦粉、砂糖、ベーキングパウダーが入っていますよね。

この共通する部分を最初から一つにまとめておいたら計量が楽になるんじゃないかと考えました。

2種類のミックス粉

こちらの本では「ケーキミックス粉」と「スコーンミックス粉」の2種類のミックス粉を紹介しています。

ざっと数えてみましたら、ケーキミックス粉を使ったお菓子24種類、スコーンミックス粉を使ったお菓子22種類ありました。

ケーキミックス粉

薄力粉、砂糖、ベーキングパウダーの3種類を混ぜた粉です。

パンケーキやシフォンケーキ、パウンドケーキ、ロールケーキ、サクサク系のクッキーやマドレーヌなど、一般的なお菓子にはこちらを使っています。

ベーキングパウダーが不要と思われるクッキーやロールケーキですが、少し入ることでクッキーはサクサクに、ロールケーキの生地は安定した膨らみが得られます。

スコーンミックス粉

薄力粉、強力粉、砂糖、ベーキングパウダー、重曹、塩を混ぜた粉です。

お菓子に使う粉といえば薄力粉、と思われますが、実は薄力粉に強力粉を混ぜた、中力粉に近い粉の方が向いているものもあるのです。

例えば、パイ生地やスコーン生地、ブレッドと呼ばれる生地にはこちらの方が合います。

薄力粉よりも強力粉の方が水分をしっかり吸収してくれるので、パイ生地やスコーン生地はべたつかず、水分の多いブレッド系の生地でもふっくらと焼き上がります。

薄力粉と強力粉2種類を用意して計り分けなくてはならないのが面倒ですが、ベストなバランスで混ざっている粉があれば、迷うことなく使えて便利です。

実は最初、こちらの粉1種類で本を作れないかな、と思って試作をしてみたのですが、シフォンとロールケーキはどうしても薄力粉だけじゃないとうまくいかず、2種類用意することになりました。

薄力粉と強力粉、ベーキングパウダーと重曹、塩と砂糖、と材料が6種類もあり、たいていはどちらか省略してしまいがちな配合ですが、最初から混ざっていると計量が楽になります。

 

おすすめメニュー

パンケーキ

ミックス粉といえばパンケーキ(ホットケーキ)ですよね。

この本でも4種類のパンケーキを紹介しています。

  • ふかふかパンケーキ
  • もちもちパンケーキ
  • ふんわりパンケーキ
  • 黒糖コーヒーパンケーキ

ふかふか、もちもち、ふんわり、この3種類があれば、パンケーキの食感バリエーションは、ほぼ網羅されているのではないでしょうか。

ケーキミックス粉1カップを基準にした材料の配合から、それぞれの食感の違いがどこから生じるのかがわかっておもしろかったです。

スコーン

スコーンミックス粉と名付けただけありまして、この本の一押しはスコーンレシピです。

  • バタースコーン
  • チョコチャンクスコーン
  • オニオンスコーン
  • リッチスコーン
  • おつまみスコーン
    • くるみ
    • チーズ
    • ごま
  • オイルスコーン
  • 抹茶小豆スコーン
  • デーツスコーン

ざっくりとした食感で粉の風味がしっかりと感じられるのは、強力粉をブレンドした粉ならでは。

バターとオイル、両方載っているのでお好みで選べます。

マフィン

マフィンも意外に水分の多いお菓子で、配合によっては焼き上がり後、時間の経過とともにべちゃっとしてしまうことがあります。

  • ブルーベリーマフィン
  • チョコバナナココナッツマフィン
  • オレンジマフィン
  • クリームチーズとサーモンのマフィン
  • パイナップルとソーセージのカレーマフィン

ケーキっぽく仕上げたいブルーベリーマフィン以外は、スコーンミックス粉を使っています。

特にチョコバナナココナッツマフィンには、6個のマフィンにバナナを2本も使っています。しかもこれはトッピングなしで全量生地の中にはいりますので、バナナの風味豊かに仕上がります。

昔ながらの定番おやつ

この本のメニューだしの打ち合わせで、編集の方から提案されたのが「昔ながらのおやつ」でした。

今川焼き

中でもこれは無理だろう、と思ったのが今川焼きでした。

大判焼きと今川焼き

そもそも、大判焼きとの違いもよく知らず、はっきりさせるため、調べたりもしました。

関東地方では今川焼き、関西では回転焼き、全国的には大判焼きと呼ばれるそうです。なるほど。

手作りの型

いずれにしても、専用の型がないとそれらしい形にならないので、まずはそこからスタートしました。

セルクルを使いたいところでしたが、おやつにセルクルってどうなんでしょう?

それで手作りすることにしました。

さっくり、もちもち

次は食感です。

今川焼きならではの外側がさっくり、中がもっちりとした食感がないといけませんので、オーブンではなく、フライパンで蒸し焼きに。

パンケーキよりも厚みがある分、ちょうどいい火加減を出すのに苦労しましたが、その甲斐あって「確かに今川焼きだ〜!」と言われ、ミックス粉でこんなお菓子もできちゃうんだ〜、と感激でした。

洋風今川焼き

本では「洋風今川焼き」となっており、中身はカスタードクリーム、ブルーベリージャムの2種類で紹介しています。定番の粒あんにしても、もちろんおいしいです。

どら焼き、カステラ、ドーナツ

市販品を買うことの多かったおやつを家で作って、できたてが食べられるのは最高だな〜と思いました。

カップ?グラム?

お菓子のレシピで何かと話題になるのが、カップ表示(匙表示)にするか、グラム表示にするか、という部分です。

個人的にはグラム表示1本にしたいというのが本音です。

秤にボウルをのせてどんどん材料を計量しながら加えていくのが一番楽で正確に計れると思うのですが、そう感じるのは私がお菓子を作る機会が人より多いからで、一般的にはカップ、匙を使う方が作りやすいようですね。

というわけで、私の意見も採り入れてもらい、カップとグラムの両方で表示することになりました。

クッキーミックス粉

ケーキミックス粉とスコーンミックス粉を作ってこれは便利だな、と思い、本の出版後、「自家製クッキーミックス粉」も作ってみました。

クッキーは一度にいろんな種類を作れると楽しいし、種類があれば、クッキー缶という大物にも展開していけますよね。

それらを盛り込んだ動画をYouTubeにアップしています。

全部で4本立てになっていますので、よろしければご覧ください。