書きます、とお伝えしておきながら、遅くなってしまいました。
先月のレッスンでご紹介したケーキのお話しです。
洋梨のショートケーキにモンブランのクリームを絞ったのが、今回のケーキです。
洋梨のショートケーキとモンブランのコラボケーキ
意外に思えますが、洋梨と栗、実は王道の組み合わせなのです。
洋梨のムースと栗のムースを組み合わせたケーキを食べて感動して以来、洋梨と栗のケーキをよく作るようになりました。
ラ・フランスを選んだ理由
洋梨も年々手に入りやすくなりましたね。
お値段もお安くなって、国産の梨の方が高いくらいです。
また、数年前まではまず、パートレットやマリーナといった細長い形をした品種から出始めて、ラ・フランスは11月も後半にならないと見かけなかったような気がするのですが、10月からお目見えです。
栽培状況なども年々進化しているんだな、と嬉しく思いながら手に取りました。
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主役を支える洋梨のリキュール、ポワール・ウィリアム
今回のケーキには、洋梨のリキュール、ポワール・ウィリアムをスポンジに塗るシロップ、クリーム、マロンクリーム、洋梨のマリネと、なんと、4パーツで使っています。
品のある香りで、お菓子によっては他の素材に負けてしまいそうな洋梨を引き立てるのにも一役買ってくれます。
私はマスネ社のものを愛用しています。
キルシュで代用することもできますが、洋梨のお菓子を作る機会があればおすすめです。
サバトンのフランス産マロンペースト
去年、レッスンでマロンシャンテリーをご紹介したときには栗の甘露煮を煮てうらごしたものを使用しました。
今年はフランス産のマロンペーストを使いました。
最近は和栗の方がメジャーなんじゃないか、と思うほど、めざましい勢いの和栗スイーツですが、私がお菓子作りを始めた30年くらい前は、アンジェリーナのモンブランに代表されるような、フランス産マロンペーストを使ったものが栗のお菓子では人気でした。
マロンペーストの思い出
1995年の12月、藤野真紀子先生のレッスンに初めて参加したときに習ったのが、マロンのブッシュドノエルでした。
家庭でこんなにおいしいケーキが作れるなんて!
ケーキを食べた時の感動は今でも忘れられません。
そして、その時に使われていたのがサバトンのマロンペーストでした。
レッスンの帰り道、フォンテーヌというお菓子の材料屋さんに寄って、サバトンのマロンペースト1キロ入りを購入。
家に帰って早速作りました。
当時はオレンジ系のベージュのパッケージだったサバトンのマロンペースト。
これまでに一体、何缶使ったことでしょう?
今はゴールド系に変わり、サイズも手頃な250g入りが出るなど、そんなところにも月日の流れを感じます。
話がだいぶそれてしまいましたが、ケーキが手軽に作れるのと、お菓子を作り始めた頃の原点に帰ってみたい、という気持ちも少しあり、今回はフランス産のマロンペーストを使うことにしました。
マロンペーストとマロンクリームの違い
よくご質問をいただくのが、市販されているマロンペーストとマロンクリームの違いです。
両者の違いは
栗の含有量が異なります
材料はどちらも栗、糖類(砂糖、グルコースシロップ)、バニラ香料となっています。
同じ材料で作られていて、糖度はどちらも60度という点は共通ですが、マロンペーストの方がマロンクリームよりも材料に含まれる栗の割合が多くなります。
固さが異なります
マロンペーストの方がしっかり固めなのに対し、マロンクリームはそれよりも水分が多く柔らかいです。
用途の違い
マロンペースト
栗の濃厚な風味としっかりとした質感は、栗のお菓子全般に最適です。
特にモンブランのクリームにはマロンペーストがおすすめ。
マロンパイなどのフィリングとしてそのまま使うこともできます。
マロンクリーム
柔らかなマロンクリームは、生クリームと合わせてロールケーキに巻き込んだり、ヨーグルトに合わせたり、パンやクレープなどにそのまま塗って食べるのにも適しています。
こくのあるスポンジ
上からたっぷり絞るマロンペーストとのバランスを考えて、通常のふわふわジェノワーズよりも少ししっかりとした、コクのあるスポンジにアレンジしました。
フレジェなどによく使われるタイプのスポンジで、粉の一部にアーモンドパウダーを使っています。
土台のスポンジがおいしいと、ケーキ全体のレベルが底上げされるので、ちょっと贅沢なケーキにしたいな、というときなどはこの方法もおすすめです。
2段重ねと3段重ねのショートケーキの違い
ショートケーキを作るときは、3段にすることがほとんどです。
理由は、
- 高さが出て見映えがする
- クリームとスポンジの層が多いほどしっとり仕上がる
- フルーツをたっぷり食べられる
それを今回はあえて2段にしました。
理由は、
- スポンジそのものを味わいたいから
- モンブランクリームの重量に耐える土台を作りたいから
- 全体のバランス
2段と3段では、食べた時に感じるスポンジの存在感がだいぶ変わってきます。
全体にみずみずしさの感じるケーキにしたいときは3段、あっさりとした(パサつきとは異なる)ケーキにしたければ2段にする、というのもありますね。
アレンジのしやすさ
シンプルな構成なので、アレンジもいろいろできるのが今回のケーキです。
アレンジ1 フルーツを変える
単純すぎてアレンジといえるの?と思われるかもしれませんが、洋梨を他のフルーツに変えれば、さまざまな種類のショートケーキが楽しめます。
スポンジが通常よりもリッチなので、意外なおいしさを発見していただけるんじゃないかと思います。
いちごの他、オレンジやバナナ、キャラメルソテーしたりんごなどもおすすめです。
アレンジ2 マロンクリームをメインにする
トップに使用しただけのマロンクリーム。
これを土台のケーキにも使えば、栗好きにはたまらないマロンショートケーキになります。
元のレシピの3倍くらいのマロンクリームを用意すれば、ちょうど良いかと思います。
そしてスポンジの間には栗の渋皮煮やマロングラッセなどを散らせば、かなり豪華なケーキになるでしょう。
今年の我が家のクリスマスケーキはこれかな、と今思いつきました(笑)
アレンジ3 スポンジとクリームで皿盛りデザートを組み立てる
スポンジとクリーム、リキュールを効かせた洋梨で、皿盛りデザートにしてはどうでしょう?
- スポンジを適当な大きさにカットしてホイップクリームをはさみます。2段でも3段でも。
- 上からモンブランクリームを絞ります
- リキュールでマリネした洋梨を添えます。
- バニラアイスクリームをレンジで軽く溶かしたソースを添えて仕上げます。
レッスンにご参加くださいました皆さま、ありがとうございました。
リッチなスポンジとモンブランクリームに、洋梨のリキュールで香り付けした洋梨の3重層のおいしさを、アレンジと共にお楽しみくださいね。